お仕事の概要
SB新書『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』
岩波 明 著
出版社:SBクリエイティブ
発売日:2023/11/7
デザイン:杉山健太郎
8月頃、SBクリエイティブ様より3回目のカバーイラストのご依頼をいただきました。
過去2作とは違う編集者さんからのご依頼だったので、若干緊張しましたが、とても気さくで親切な方で、最後までサクサクと作業が進みました。
- 小学校中学年くらいに見える男の子のイラスト1点
- 正面・正立した自然な気をつけの姿勢
- 服装は長袖半ズボンで、落ち着いた色味
- 表情は、不自然でない程度に無表情
- 暗くなく、派手でなく、ナチュラルな雰囲気
- 『犯罪心理学者』新書シリーズのイラストよりもやや明るめで、少し可愛い感じ・・・
などなど、ほぼ描くものやポーズ、色味、雰囲気など最初から決まっていました。
それを踏まえて、ラフを提出しました↓
肌や髪を塗らないパターンなども検討されているということで、そういう感じのものや、サンプルで付けていただいていた画像のような色味のもの、服装違いなど4案提出。
顔は、いつも描いている感じのものと、「可愛く」を意識して目を少し変えたものも描いてみました。
結果、いつも通りのお目目が採用になったのですが・・・。
確認していただき、「髪色を少し薄く」などの修正が入り、清書して納品となりました。
最初は、タイトルの端に添える小さいイラストの予定でしたが、レイアウトが変更になり、イラストがど真ん中に配置されることに!
小さく表示されるイラスト用に、原画も小さく描いて、黒目の位置も地味に変えてみたり、あまり描き込まないようになどしていたので、「ど真ん中にデカデカと配置されて大丈夫かな・・・耐えれる?」と、内心ヒヤヒヤしていましたが、編集さんのOKが出たので、このままGOとなりました。
今回初めてだったのが、実際に出力した色校の紙をいただけたこと。
私が実物を見て、色をどうこう言う時間はなかったのですが、記念にとっておきたいと思います!
印刷用のカラーチャートなどが周りにあって、カッコいい!ときめく!!
と、それが何のためについているのか役割すらわかりませんが、普段お目にかかれないものなので、テンション上がりました。
制作期間:1ヶ月
制作ツール:ペン、水彩、Photoshop
本の感想
今回も、見本をいただきましたので、読みました。
『発達障害の子どもたちは世界をどう見ているのか』
我が家には、発達障害のひとつであるASD(自閉スペクトラム症)の子どもが二人おりまして、常々、「この子たちの見ている世界が知れたらどんなに良いか」と思っています。
実際、よくわからないことが多いので。
今まで、発達関係の本はいくらか読んでいることもあり、ASDについての解説などは知っていることが多かったのですが、ASD以外のところは知らないことも多く、特にLD(学習障害)の章は興味深く読みました。
個人的にとても良いなと思ったのは、何度も繰り返し「ここに書いてあるのはひとつの例であり、全てがこれに当てはまるわけではない。」ということが書いてあるところです。
大体こういう傾向があるけれど、「特性はひとりひとり異なる」「困りごともそれぞれ違う」というのが伝わるように配慮されているんだなと思いました。
また、我が家には、家族で出かけようとしても、
「俺、行かない。家でゲームしてた方が楽しいから。」
などと、全く悪びれる様子もなく言う息子がいるのですが、「輪に加わらなくても、それはそれでOK。」という対応で良いと書かれていたの、気が楽になりました。
「仲良く皆でお出かけできるのが幸せ家族」
みたいなイメージがありますが、実際無理やり連れて行ったところで、険悪なムードになるの必至なので、「別行動で良い」と言い切っていただけてよかった。
驚いたのは、「ASDの成人のうち70〜80%程度精神疾患が併存」という事実。
ASDの子どもにとって、今の世の中はそこまで生きづらい環境なのかと悲しくなりました。
最後の方の、子どもを支援に繋げなかった親の恐ろしい末路の話はもう目も当てられない・・・怖すぎるし他人事とは思えない。
結局、発達障害の子どもたちを活かすも殺すも、環境次第。
それは周りにいる人間にとっては、とてつもないプレッシャーなのですが、それが事実なのでしょう。
そんな重責を親だけで抱え続けるのは、なかなかにしんどいから、せめて、これから発達障害に対する理解が進んで、障害のある子どもたちに優しい世界になれば良いなと思いました。
発達障害の子どもたちは、何も悪くないので。
まとめ
イラストレーターになって、いつかやりたいと思っていた仕事のひとつが、発達関係のお仕事だったので、ご依頼を頂いた時にはとても嬉しかったです。
また、編集者さんが私のブログを読んでくださっていて、私の背景なども知った上で選んでいただけたとお聞きし、下手な文章でもなんでも、書いてみるものだなと思いました。お忙しい中そこまで読んでくださったことに感謝。
雑誌のお仕事に続き、発達のお仕事もできたので、次は食べ物を描いたり、器を描いたり、猫描いたり、着物描いたり・・・色々やりたいお仕事あるので、これからも日々精進してまいりたいと思います。
この度は、ご依頼いただきありがとうございました。