【お仕事】SB新書『植物に死はあるのか』挿絵・カットを制作しました。

お仕事報告

お仕事の概要

SB新書『植物に死はあるのか 生命の不思議をめぐる一週間
著者は、植物学者の稲垣栄洋先生。
挿絵8点、カット1点を制作させていただきました。

出版社:SBクリエイティブ
発売日:2023/7/6
制作期間:1ヶ月
制作ツール:ペン、水彩、Photoshop

各章ごとに1枚ずつ、モノクロ一枚絵の挿絵を制作。
のちに、追加で木の断面のカット1点も制作しました。

お仕事の流れ

昨年一緒にお仕事をさせていただいた編集者さんからのご依頼でした。

原稿を読んで自由に描いて…」というような内容だったと思うのですが、私は挿絵のお仕事が初めてで、「そんなザックリでは不安過ぎる!」と思い、最初の2枚だけ、例えばこんな感じ・・・というのがわかる簡単なラフを描いていただいたり、イメージされている絵柄の雰囲気などをお聞きしてから制作に入りました。

お話は、エッセイのような小説のような不思議な植物の話で、「なるほど、そうなんだ!」と納得できたかと思いきや、「本当にそうだろうか?」と投げかけられる。そんなことを何度も繰り返しているうちに、「え?実際どうなの???」と頭が迷宮入りしそうになったため、線を引きながら、メモをとりながら、何度も読み返しました。

全く見当はずれなことを描いていたらまずいので、普段は出さない大ラフの状態のもので、最初に方向性の確認をしていただきました。 

表現が間違っているもの、伝わりづらいものなどを訂正していただき、それを踏まえてラフを制作しました。

新しい案なども盛り込みつつ(結局不採用でしたが!)、ラフを提出。
ここでも解釈が間違っているもの、事実と違う部分などをチェックしていただきました。

修正が入った部分を直してラフが全て完成しました。

その後、水彩とペンで清書して、フォトショップで加工してデータ納品しました。

大ラフ提出まで12日、ラフ制作に10日、清書に7日。ご依頼から納品まで1ヶ月程度でした。

見本をいただいて

6月の末には、見本を届けていただきました!

自分が思っていたよりも色が濃く出ていたこと(紙質にもよるらしい)など、反省点は色々あるのですが、初めての挿絵の仕事が形になっており、感慨深かったです。

SNSに載せると、ミドリアメーバとウミウシが葉緑体を食べているイラストを面白いと言っていただけて嬉しかったです。

こちら、大ラフの段階では、人間、ウミウシ、アメーバ、植物が横並びで一緒にテーブルについている設定にしていたのですが、内容に即していない部分があり、最終的には、「植物は無し。ウミウシ、アメーバと人間を差別化したい。」ということで(そのほかの内容も含め)今のレイアウトになりました。

実際には、お話の中にこういう食事シーンは出てきませんが、内容からイメージしたものをイラストにして良いということでしたので、このような結果になりました・・・。

本の感想

毎日余裕のない生活を送っているため、お恥ずかしながら、この本に書かれているようなことに考えを巡らせたことは・・・今まで一度もなかったです。

全く自分とは関わりのないような植物の話から始まるのに、気づけば帯にあるような「生命とは?生きるとは?」という話になっております。

理科好きでもなく、植物学の本を読んだこともない私には知らないことばかりで、植物の不思議、生物の不思議、生命の不思議エピソードの数々に、「ヘ〜・・・」とか、「はぁ〜」とか言いながら読みました。

裏に「植物学者が生と死の謎に悩み続ける1週間」とあるように、読みながら先生と共に悩み続けてみるものの、一向に答えにたどり着けなくて、読書初心者としては、読んだ後の脳疲労が凄かった。

ただ、読んでいるうちに、この壮大な視点でみれば、生きることも死ぬことも、大したことではない気がしてきて、「あまり難しいこと考えずに、自然のままに生きていけばいいのかも・・・。」という気になりました。

まとめ

今までは、何を描くのか、どう描くのかが決まっているお仕事が多かったため、「どう描いても良い」というのはとても難しく感じましたが、「ダメだったら却下してもらおう!」と好きに描いて、意見を聞きながら修正していく作業はとても楽しかったです。こういう機会をいただけたことをとても幸せに思います。

次お仕事が巡ってきたときにはこうしたい!という学びもありましたので、また挿絵のお仕事がしたい!そんなこんなで、また地道に絵の練習していきたいと思います。

この度は、ご依頼いただきありがとうございました。

こんどうしず

イラストレーター
主にペンと透明水彩を使って、穏やかなイラストレーションを制作します。
猫、日本的なもの、みかんが好き。

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